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歓喜の歌

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  "Ode to Joy from Symphony No.9 IV"  [作曲] L.v. ベートーヴェン (L.v. Beethoven)  [編成] トランペット4重奏  [演奏時間] 5分  [最高音] F    [出版] kz2 publishing  [楽譜入手先]  piascore 今回は久しぶりに自作の編曲作品を紹介させていただきます。 誰もが一度は聴いたことがあろう第九の歓喜の歌をトランペット四重奏にしました。 5音のみでできている単純な旋律をいろいろなバリエーションで展開していく様は見事ですが、この大規模かつ繊細な作品をいかにトランペットアンサンブルに仕立てるかに苦心しました。 あまりにも有名なこの曲は、耳にする機会も多く毎年のようにプロオケでは演奏されていますが、実際にはD-durで最高音はハイBの下のAなのですが、この音が頻繁に出てくるためアマチュアにはかなりの難曲です。 今回は同じ調では大変なので半音上のオクターブ下Es-durにしました。 なるべく易しくかつトランペットアンサンブルとして演奏可能な長さにカットしながらも、ある程度の第4楽章の再現度も考慮して、冒頭と最後を違和感なくつなげるよう努力しました。 4番パートはフリューゲルホルンで演奏すると効果的です。冒頭ソロなど適宜持ち替えても良いかと思います。 ・演奏時間 約5分 ・最高音 ソ(F) ・原調より半音上(Es-dur) in Bbの譜面ですのでクラリネットアンサンブルとしてもお楽しみいただけます。

4つの舞

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"Four Mai Trio for Trumpet, Violin, and Piano"  [作曲]  ​神田晋一郎 (Shin-Ichiro KANDA)  [編成] トランペット、ヴァイオリン(ヴィオラ)、ピアノ  [演奏時間] 約23分  [楽譜] IKU  [最高音] ハイCb 国際トランペットギルドの主催する2016年のトランペット・フェスティバルでJ.ホワイトハウス氏とその奥様の郁子さんにより初演された曲です。 そしてその郁子さんの兄弟が作曲者の神田晋一郎氏ということで生まれたのが、少し変わった編成でトランペット、ヴァイオリン(ヴィオラ)、ピアノの三重奏です。 ほかに私が知るのはイウェイゼン(エワイゼン)のものしかありません。 全体20分を超えるで4楽章の大作です。 なんとこの曲、無料にて楽譜・パート譜まで公開されています。(すばらしい!) が、演奏するにはかなりの技術が必要だと思われます。 1楽章は三連符が爽やかで軽快な第一主題と幻想的な第二主題のソナタ形式、 2楽章はヴィオラで演奏する指定があり温かみのある音が印象的です。 (おそらく、この編成だとかなり演奏機会が限定されるので、ヴァイオリン版もあるようです) 3楽章のタンゴはさすらう感じのなんとも言えない雰囲気を醸し出しています。最後でピアノの低音のものすごい不協和音がアクセントになっていて逆に心地よい。 4楽章は1楽章と対比的な緊迫感のある三連符を主体とした楽章です。 変わった編成ではあるものの、この曲やイウェイゼンの例があるように悪くはない組み合わせだと思います。  - I. Allegro  - II. Andante  - III. Tango  - IV. Allegro Vivo

3つのブルージャケット

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"The Three Bluejackets"  [作曲] E.S. ウィリアムズ (Ernest S. Williams)  [編成] 吹奏楽 + トランペット3重奏  [演奏時間] 約4分  [最高音] ハイB  ウィリアムズはアメリカの作曲家でバンド指揮者、コルネット奏者だったそうです。 コルネット(トランペット)のための簡単なデュエットや教則本もあるようです。 今回紹介するのは、吹奏楽伴奏のトランペット三重奏です。 吹奏楽やオケの伴奏のトランペット三重奏というとアンダーソンのトランペット吹きの休日が有名ですが、同じように華やかで楽しい曲です。 中間部の静かにしっとりと歌い上げる部分がとても美しく、2nd,3rdの動きもおいしいです。 ブルージャケットとは水兵のことですが、トランペットを3人の水兵に見立てているのでしょう。メロディもどことなくアメリカのアニメのポパイに似ているような気がしますが気のせいでしょうか?   こちらはラジオの録音のようです。残念ながら中間部はカットされています。

NTC2024 全米トランペット選手権

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 今年もNTCが開催されました。 今回は、テキサスのA&M大学で2024年3/9~11の3日間に渡り、公開レッスンやソロ部門、アンサンブル部門のコンテストが行われました。 今年もエリック・モラレスの作品が多いようです。なんと85団体中28団体! つづいてK.マッキー10団体。昨年5団体あったエワイゼンはありませんでした。 トランペットアンサンブルの定番プログの作品もありました。 コロナ禍の自粛もなくなり練習にも専念できるようになったからでしょうか、昨年に比べレベルの高くなっているように感じます。 高校生の部 HICH SCHOOL ENSEMBLE DIVISION 1位 ダラス・ユース・トランペット・アンサンブル 7重奏     Dallas Youth Trumpet Ensemble      ディスカバリー(マイヤーズ作曲)      Discovery   Kyle Myers   2位 セーレム・トランペット・アンサンブル 5重奏            Salem Trumpet Ensemble      コントラクト(プログ作曲)      Contrasts  Anthony Plog  3位 ヘブロン高校 5重奏             Hebron High School       X1 (モラレス作曲)      X1  Erik Morales 小アンサンブル部門 SMALL TRUMPET ENSEMBLE DIVISION 1位 ヒューストン大学 6重奏            University of Houston     沖縄     (バティスタ作曲)     Okinawa    Ned Battista  2位 ベイラー大学(ゴールド) 5重奏            University of Baylor     E.ウィリアムズの音楽(E.ウィリアムズ作曲/ラッド編曲)         Music of Ernest Williams ...

アイディア・ナンバー24

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"Idea Number Twenty-Four" for Trumpets  [作曲] T. エバーソン (Terry Everson)  [編成] トランペット5重奏  [演奏時間] 約8分  [楽譜]  アカデミアミュージック パガニーニの24の奇想曲から有名な第24曲が基となっています。 この曲はいわゆるパガニーニの主題と言われるもので、古今の作曲家が好んでテーマにしており、最も有名なものはラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲がありますが、吹奏楽でもJ.バーンズのパガニーニの主題による幻想変奏曲があります。 この主題にバルトーク、ミヨー、ルトワルスキー風なアレンジを加えた面白い曲です。 5本でのベルトーンやジャズ風なハイトーン、ダブルタンギングを必要とする早いパッセージなど超絶技巧盛りだくさんのアンサンブルです。 しかも5人ともうまくなくては成り立たない難曲です。 うまく演奏できるととてもカッコイイですがなかなか通すのも一苦労でしょう。 こちらは一人で多重録音したものです。 納得いくまで取り直しているのだと思いますが、縦がピッタリですね。すごい。

ブランデンブルク協奏曲第2番

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"Brandenburg Concerto No. 2"  [作曲] J.S バッハ(J.S. Bach)  [編成] トランペットソロ(古楽オーケストラ)  [演奏時間] 約11分  [最高音] ハイG  [楽譜] IMSLP(無料) バッハといえば、クラシック音楽に詳しくない人でも聞いたことがある有名な作曲家ですが、トランペットのためにも作品を残しています。 名曲かつ大作曲家の作品ということもあり有名なことから名手による録音もいくつもあります。 素晴らしい作品でなのですが難点が一つ。音が高すぎ! 最高音は記譜上では上のレですが、in Fのため実音はハイG😬となります。トランペット奏者には鬼門の曲のひとつでしょう。 トランペット以外にも管楽器はソリスト級の演奏技術が必要なためアマチュアで演奏することは少ないと思いますが、元々古楽器オーケストラのための作品であり編成も異なるためプロでもなかなか手が出ない曲でもあります。 こちらは、モダン楽器のピッコロトランペットでの演奏です。キラキラしてとても輝かしい印象です。 こちらがバロックトランペットでの演奏です。ピッコロに比べてどっしりとして落ち着いた印象です。音程がとりにくいため輪郭が少しぼやけます。 補正孔という木管楽器のように管の途中に穴をあけて開閉によって音程を調整するようですが、基本的には自然倍音で演奏します。必然的に音階のような音列がつかえるのは高音となりこのような難曲が生まれたのでしょう。バッハはこんな曲を作ってトランペット奏者に文句を言われなかったのでしょうか。。。 バロックの作品は作曲家・奏者双方の努力によって成立するのだとつくづく感心します。

トランペット協奏曲

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"Trumpet Concerto"  [作曲] B.アッペルモント(Bert Appermont)  [編成] トランペットソロ、吹奏楽  [演奏時間] 約15分 ベルギーの作曲家、アッペルモントの吹奏楽伴奏のトランペット協奏曲です。 アッペルモントは吹奏楽ではおなじみの作曲家、ローストの弟子ですが昨今では師匠を凌ぐ人気作曲家となりつつあります。 吹奏楽伴奏のトランペット協奏曲といえばA.リードのものが最初に思いつきますが、近年ではいろいろな作曲家が作曲しているようで、オーケストラ伴奏のものよりも多いのではないかと思うほどです。機会があれば紹介していきたいと思います。 この曲は、広島ウインドオーケストラの結成30年を記念して同団とNHK交響楽団首席トランペット奏者の菊本氏の委嘱で作曲されたもので、下野竜也氏指揮、広島ウィンドオーケストラで初演されました。 1楽章:ディヴェルティメント ゆったりとした荘厳かつ煌びやかな前奏の続いて、短調の重たい雰囲気を打ち消すような、さわやかなフルートソロに導かれるようにトランペットソロが開始されます。晴れわたる空を滑空するかのような美しい曲です。 2楽章:インテルメツッォ 1楽章と変わって静寂の中を抒情的にソロが歌い上げます。ビブラフォン、グロッケンなど吹奏楽ならではの伴奏が旋律を引き立てます。 3楽章:スケルツォ 少しおちゃらけた雰囲気のコミカルな曲調です。終盤にカンデンツァがあり走り去るように終結します。 難度は当たり前ですが、細かいパッセージ、激しい跳躍などはもちろんのこと表現力が試される非常に難しい曲だと思います。 また1つトランペット協奏曲のレパートリーが増えたと思える名曲です。 こちらが初演時の映像です。